引本

by Leciel 田口 彰一

 2007年のゴールデンウィークは4月28日から5月6日まで連休を取った人も多かったようですが、この9連休をずっとヨットで過ごした暇人はそんなに多くないでしょう。どういう訳かボクも今年はその暇人の仲間入りをして、カミさんに「着替えが無くなったら、帰ってくるわ」と言い残して仕事が終わった金曜の夜、イソイソとハーバーに向かったのでした。前半は引本、後半は桃取へと西と東の幾つかの港を巡るクルージングをしてきたのでご紹介します。

1日目(東長島へ)
 天気予報は当たらないものですが、この年のゴールデンウィークは特に外れが多かったようです。この時期は天気が目まぐるしく変わり、雨と強風はいやというボクのような軟弱セイラーにとってはクルージングの予定が立てにくい。連休前半はいい天気という予報を信じて、2泊3日で泊り先をインターネットで調べた結果、行き先を紀伊長島と引本に決め宿を予約しました。知らない港で風呂や飲食店を探すのは大変ですが、今は小さな民宿でもホームページがあり、どんな所か凡そ想像が付くので便利になったものです。
 28日(土)朝、橘、三木、田口の3名が揃い9時にVOCを出航しました。今日の行き先は20M先の紀伊長島です。そんなに遠い距離ではないので途中、志戸の鼻で魚つりをしよう計画しましたが、湾口に出ると西風が強くうねりが入っています。鯛のポイントでアンカーを下すものの、波がデッキをかぶり魚釣りどころではありません。早々に切り上げ、向かい風のなか1ポンリーフで目的地に向かいました。古和浦沖を過ぎ大島が見え始めた頃、ますます風を強くなったため、ジブファーラーを巻いて機帆走に切り替え、さらに錦沖で、2ポンリーフ。2ポンは想定外なので準備不足がたたり、ブームに垂れ下がった風をはらんだセイルの処理に苦労しました。向かい風でスピードは3ノットぐらいしかなく長島湾の入口のブイにたどり着いたのは15時でした。泊地は長島の本港を通過して、右側の湾の奥にある東長島。もう少しだ!
 事前に宿の人から、宿の前の桟橋に着ければいいと聞いていたので、槍付けでアンカーを打ったものの、運悪く、ここに来て前線の通過なのか突風が吹き出しベアポールで20度ぐらいヒールする始末。きっと日頃の行いが悪い人がいるのでしょうね。何とか、係留して部屋に入ったのは16時でした。さっそく、風呂に入り、そこらじゅう痛い身体を引きずってタタミの上で暫くゴロ寝です。こんな天気になるとは、予想外でしたが宿を取っておいて正解でした。宿の名前は「浜ちどり」(Tel 05974-7-1049)。大型民宿というコピーが書いてあるとおり結構、部屋数があり、宿泊客は釣りの団体さんでした。東長島には広い岸壁はありませんが、釣り宿、民宿が数件あり、湾の奥なので1~2艇でのクルージング先にはいい所です。


 

2日目(引本へ)
 翌日は、打って変わって晴天でいい風になりました。燃料を配達してもらい、いざ出航となったところでトラブルが発生。昨日まで元気よく動いていたエンジンがピクリともしません。電気関係のトラブルとすぐ判りましたが、原因が判らないのでエンジン屋を呼ぶことにしました。宿の女将さんに電話を掛けまくって貰いましたが、生憎休日ですべてダメ。仕方がないので電線を一つづつ辿って、セルモータのリレーに仮の電線を繋いでめでたく起動成功となりました。後日、調べてみると電線が中で1本断線していました。さらに悪いことは続くものでアンカーが引っかかって揚がりません。ウインチで巻いては放すこと数回で何とか外れました。このフォールディングアンカーは、引っかかるとピンが折れ揚がる仕掛けが付いていますが、ロープに引っ掛けた場合はうまく機能しないようです。宿の人に聞くとアンカーは使わず桟橋の船に横抱きさせて下さいとのことでした。何やかんやでお騒がせし、親切な宿の女将さんには大変お世話を掛けました。
 10時出航となりましたが、今日の行き先の引本までは15M程度なので余裕があります。またもや、大島の前で釣りをしようということになりました。橘さんは新しい船釣り用の竿を試したくて仕方がないようです。魚探で反応を見ながら、15mぐらい水深の瀬にアンカーを入れました。早速、25cmぐらいのガシラが一匹釣れましたが、3匹釣らないとリリースしようという話がプレッシャになったのか後が続きません。1時間ぐらいで釣りをあきらめ、快適なアビームの風を受けて尾鷲湾に向かいます。

 引本は昔、SYCの海山クルージングのイベントがあり、地元の大歓迎を受けたというキングビーの中西さんの掲示板記事を読んで岩牡蠣を食べに一度いってみたいと思っていた港です。尾鷲湾に入り、須賀利を通過し、さらに右に進んでいくと港が見えてきました。周りの山々は新緑が映えていい景色です。
  

 漁船が留まっていない右側の広いが岸壁に槍付けで係留しました。キャンピングカーで来ている人に舫いを取ってもらいましたが、岸壁は釣りの家族連れで一杯です。船を片付けた後、宿に電話し向かえに来て貰いました。港のある引本浦には宿屋はなく、山を越えた裏側の白石湖に面した渡利に宿屋が並んでいます。今夜の宿は釣り宿の「はしもと」(Tel 0597-32-0469)です。オヤジさんは渡船もやっていて、係留は橋本丸のブイを使っていいよとのことでした。なお、我々が着けた広い岸壁は漁港ではなく、商船港の扱いになっているので、避難する船でも入らない限りいつでも空いてそうです。数艇でミーティングするならここがいいかもね。
 5分ほどで宿屋に到着。ベランダから白石湖が一望できるきれいな部屋に通されました。ここは昨日と違い客は我々のみ。特別料理をお願いすると、地元のいい魚は都会に出荷してしまうので今日は手に入らず、牡蠣も時期外れねと女将さんは商売気が全くありません。スーパマーケットなら近くにあるよというので町を散策に出ました。引本はJR紀勢線の相賀駅があり予想外に開けた町で立派な町役場もあります。白石湖と船津川を跨ぐ橋を越えて5分ぐらい歩いたところにあったスーパマーケットで買った1匹1500円をアオリイカを宿に持ち帰り料理してもらいましたが、これが大ヒットでした。
 

 

3日目(帰港)
 休養充分で翌日は30M先のハーバーに向けて7時に出航です。カツオを期待して大島の沖をからダイレクトに赤石鼻を狙います。天気は今日も晴天の南風で、ビールの消費が快調に進みます。風も弱いのでコックピットにテーブルを持ち出し、宴会モードになりました。贄湾沖でクルージングに出かけるルナロッサとミーティング。その後、ケンケンに待望の40cmのカツオがかかりました。残念ながらカツオのトレードマークの横しまがないソーダカツオでしたが、味はカツオそのものでした。15時ハーバーに帰港。カスミの宴会に合流し、またカスミのコクピットで大宴会になり、連休前半のクルージングは無事終了しました。