方座浦

by Leciel  田口彰一

 

 ヨットを長年やっていると誰しもオンザロックやキールを擦るトラブルに見舞われるようです。恥ずかしながらボクも駆け出しの頃、ここ方座浦の沖で暗岩にラダーを擦ってしまいました。そのときは快晴、波もない真夏の午後、音瀬の鼻からかなり離れた場所を2~3ノットでたらたらとセーリング中、突然ゴンと岩に当たりました。後からチャートを見ても遅いのですがチャートには湾口から半マイル以上も離れた場所に暗岩が幾つかマークされていました。波の静かな時こそ注意が必要とこのときに知りました。そんなこともあって、方座浦はなんとなく避けていたのですが、夏休みのクルージングの帰りに三木さんと久しぶりに行ってきましたので紹介します。

   

  

今回は少し波があるため、例の暗岩のある場所は海面が少し盛り上がっていて目視できます。ここを大きく回りこんで右側の岬沿いにアプローチして湾内に入りました。広い無人の湾を右に見てしばらく進むと正面に方座浦の漁港が見えてきます。奥は3方に分れていて、左側の入り江には整備された広い岸壁に渡船が並んでいます。奥の突き当たりが町の中心部で魚市場があります。船は、お盆の休漁期間で空いている漁市場の前の桟橋に横付けさせてもらうことができました。ここも漁師の人は皆さん大変親切です。漁協の理事をやっているという方はわざわざ氷倉庫の鍵をもってこさせて我々のために氷を分けてくれました。

 

町は釣り宿がたくさんありましたが、残念ながら民宿や旅館はありません。また、魚市場近くの漁協にスーパーマーケットがあります。町の散策に出かけて、港を見下ろす小高い丘の上にある社で変わったものを見つけました。この社との関係はまったく想像がつきませんが東郷元帥の石像が立っていました。きっと海の守り神みたいなものなんでしょうね。

 

 

この日はちょうど盆踊りの当日で、魚市場の裏の広場には盆踊りの櫓がセットされていました。夕方になってくると準備に人が集まってきました。生ビールの屋台も出ていたので早速買って船で乾杯です。やがてあたりが暗くなって盆踊りが始まりました。曲目はおなじみの東京音頭とか「きよしのズンドコ節」なんかでした。ゆかた姿の人や思い思いに仮装した子供たちなど100名近くが櫓の周りを踊っています。我々も生ビールで酔いが程よくまわったところで踊りに参加させてもらいました。ボクは盆踊りなんて小学校の頃以来ですが、踊り上手なご婦人の後について、見よう見まねで楽しい時を過ごしました。2~3時間たって、一旦終わるかと見えた盆踊りは第二部を向かえます。ここからが本来の盆踊りということで地元に伝わる歌詞と曲にのせて深夜まで踊りが続きます。その終わりない単調なリズムを聞きながら知らぬまに眠ってしまったのでした。

 

方座浦は環境も距離的にもクルージングには良いところです。入り口の暗岩に気をつけて、皆さまもぜひ一度訪れてみて下さい。