熊野花火大会

by Leciel 田口 彰一

シーブリーズの能勢オーナーの呼びかけで熊野の花火見物ツアーが行われ、これに同行しましたのでレポートします。当日、8月17日はあいにく天気が悪いため、参加艇が少なく、シーブリーズ1艇に全員乗り込み熊野に向かいました。

 

天気を気にしながら・・

 

今回の熊野花火見物の参加者は8名。

シーブリーズの能勢さん、フールズの吉岡さんとそのゲスト3名、藤田さん、シーファーラーのさなちゃんと私(田口)です。前線が停滞しており、曇空から時折パラパラと雨が降る小雨模様の天候です。吉岡さんの車から食料を積み込み、朝8時過ぎにオイルスキンを被ってハーバーを出航しました。

五ヶ所湾を出ると機帆走でダイレクトに熊野を目指します。風は東の5~6m/secとランニングにいい方向の風ですが、波は3m~4mとちょっと高めで、ラットを握る藤田さん顔も少し真剣モードです。

中学生の男の子と小学生の女の子とお母さんの3人のゲストはヨットが初めてなので、暫くすると気分が悪くなりダウンしてしまいました。さすがに男の子はコックピットで眠ったあと昼頃には元気が出てきました。将来が楽しみです。一方、天気はますます怪しくなってきて大島を過ぎるあたりでは完全に雨。堪らず、吉岡さんが熊野の観光協会に電話を入れて確認します。電話に出た案内嬢の何の迷いもない「やりますよ」と弾んだ声に勇気づけられ航海続行です。開催延期の可能性があれば即Uターンとみんな考えていましたが、熊野の天気はどうやら晴れているようです。

賀田湾を過ぎると岬の先に白い建物のようなものが見えてきました。近づくとそれは豪華客船の「飛鳥」で、我々と同じく花火見物に来ています。陸地に目をやると驚きました。七里が浜の長い海岸一面に青いシートが張られ、人、ひと、人で一杯です。もちろん、国道は車が渋滞して動きません。一同、苦労してヨットで来た甲斐があったと思ったのでした。

 

停泊場所は・・

さて、到着時間は6時ですが、これから8時の花火までに停泊場所を確保しなければなりません。うねりがまだかなり残っているため、波が小さい場所を探し回りました。例年どおりなら大型モーターボートが沢山出ているので停泊場所はすぐ判ると聞いてきましたが、今年は天気が悪いためか一艇もいません。岬に寄ってみると鬼ヶ城に近い場所が比較的波が静かでしたのでここに停船しました。しかし、どうも雰囲気が異様です。良く見ると、岸に花火の仕掛けの筒が無数に設置されており、先はこちらを向いています。「ヤバイ!ここにいては花火の標的になる」と思ったのもつかのま、沖の巡視船からボートが降りてきて、まっしぐらにこちらに向かってきます。海技免許書、船検証を用意して待っていると、予想に反してこちらの海上保安庁はそんな無粋なマネはせず、すぐに泊地案内をスピ-カーでしてくれました。最初は、明らかに新人の女性保安官。「これらは巡視船スズカです。お疲れさまです。えぇーと・・・」だんだん訳の判らない説明になってきて、見かねたベテラン保安官がマイクを奪って丁寧な説明を最初からしてくれました。どうやら我々は危険水域のど真ん中にいたようです。結局、「飛鳥」の下手で波を避けながら流すことにしました。ここは、「飛鳥」のデッキ上で行われているジャズバンドの音楽が聞こえてなかなかいい感じです。

 

 

海上自爆・・

やがて夜のとばりが下りて花火が始まりました。点火場所は陸上と海上に数箇所あり、次々と花火が打ちあがります。大きな音ですごい迫力です。出来るだけ近くで見ようと立ち入り禁止ライン付近を流していると赤い回転燈つけた船が猛烈な勢いで近づいてきてすぐに退去しろとマイクで怒鳴っています。沖に方向転換をし、一分も経たない内に近くの海面で大爆発が起こりました。そう、これが直径600mといわれる名物の海上自爆です。またしても「ヤバイかった!」と一同胸をなでおろしました。その後も花火は続き、最後に鬼ヶ城からの打ち上げで熊野の花火は終わりました。

 

 

月夜のナイトセーリングは・・

花火終了後、我々はすぐに帰港準備にかかり、南に変わった風を受けて追っ手で五ヶ所湾へのナイトセーリングを開始しました。天気は薄もやがかかっていますが、月夜なので視界はそれほど悪くはありません。しかしながら、コンパスの電球が切れて、おまけにハンディーGPSの電池も切れて、若干の不安を感じながらもケミカルライトの頼りない明かりでコンパスを照らしながら走ります。交代でワッチしながら7時間ぐらい走りましたが、見江島の灯台らしき光がまだ前に見えます。その内に吉岡さんが「ちょっとおかしいで」と言い出して、キャビンなかのGPSへ位置を出しに行ったさなちゃんが何と「もうすぐ大王です」というではありませんか。前の光が御座の灯台と考えれば、よく見慣れた志摩半島の風景に合致します。ということはオーバーセーリングしてこの辺は志摩半島沖の岩礁地帯です。大慌てでセールをリーフし減速してコースを戻りました。そんなこんなでいろいろ失敗もありましたが、シーブリーズは朝7時にホームポートに無事到着しました。

 

全国的にも有名な熊野の花火をヨット見物に気軽に行けるロケーションは我々の特権でもありますから、来年はぜひ皆さんも参加して下さい。きっといい夏休みの思い出になると思います。