2008年7月九州北部クルージング

By  KING BEE 山﨑 勲

 

 壱岐_筒城浜

 

 前年10月に船齢30年のヤマハ製ケッチ(45フィート)を友人と2人で購入し、ハウステンボスから志摩ヨットハーバーへ回航して、エンジン、発電機、エアコン、冷蔵庫、ウィンダラスなど主な装備品を交換する大掛かりな整備をしました。やることが一杯あり、今も整備続行中ですが、6月末には何とかクルージングができるようにはなったので、7月に約一ヶ月かけて共同オーナーの高岡氏と僕の従兄のズーちゃんと3人で長崎方面へクルージングに出かけましたので、概要をまとめます。

エンジンはヤンマー4JH-3DT(Max.115Hp)に更新しましたが、多板油圧クラッチ付で、エンジンを停止するとギアをアスターン入れてもプロペラが空転するという落とし穴がありました。ヤンマーに問い合わせても「ヨットはいつもエンジンをかけて走るのではないのですか?停止中は潤滑油ポンプも回らなくなるので空転は駄目、船を止めてシャフトとの接続部を利用して何らかの方法で固定してください。」とヨットのとは無視しているような返事。困っていたら、志摩ヨットハーバーのベテランヨット乗りが、米国にぴったりのものを作っているShaft Lok という会社があると教えてくれました。すぐ注文したものの社長がカリブ海セーリング中で間に合わず、今回は、全行程エンジン作動しっぱなしでのクルージングになりました。

 

(1)先ず高知を目指す

 73日、雨の中志摩ヨットハーバーを出港したところ、視界が悪くて1時間後に大きなビニールシートをプロペラに絡めてしまい、帆走で引き返す羽目になりました。4日に出港しなおして、夕方勝浦港入港。天然の良港で、ビジターが泊まれるスペースも広く、温泉の銭湯も近くにあります。いつもの居酒屋「ぷれいぼうい」で夕食。翌5日は潮岬を回って周参見へ入港、漁港へ入って左へ回り、堤防の内側に横付け。周参見は入り口手前で鰹岩()と浅瀬()の間を、港向こう側の天神山を40度に見ながらアプローチしますが、いつも緊張します。6日、北からのいい風で帆走を楽しみ(エンジンはオンのままで残念!)高知県甲浦へ15時半入港。いつも空いている入って左の岸壁(旧フェリー乗り場の前)に大きなクレーン船が居てスペースがなかったので、この船に(快く)付けさせてもらう。上陸するとすぐ目の前に昨年同様大きなアルミタンクが置いてありました。私は長年ロケット開発の仕事をしてきた関係で、これは月へ人を送ったサターンロケットの第3段液体水素タンクに違いないと思い、写真を元マクダネルダグラス社の友人に送って確認したところ、間違いないとのことです。なぜこんなところに放置してあるのか疑問です。

 甲浦のロケットタンク

 

(2)高知ヨットクラブの皆さんにまたお世話に

 75時半に甲浦出港、室戸岬を回り、途中、北風のアビームで3時間くらいセーリングを楽しんで1430分に宇佐港到着。昨年の四国一周のとき、高知ヨットクラブで二泊させてもらい親しくしていただいたので、今年もと、厚かましく植田会長に電話したら、今度は自宅近くの宇佐港へ来るようにとのお誘い。そちらに行くと会長が友人と一緒に舫いロープをとってくれ、すぐ前にある家に泊まるようにとのこと。甘えてまたまた二泊してしまいました。高知ヨットクラブの方数名がはせ参じて下さった他、植田会長の幼友達数名を交えての高知流宴会(いつ果てるとも無く酒を飲み続ける)は、王、長嶋と巨人で一緒にプレーしたこともある浜村さんという元野球選手もおられて話が尽きず、大阪で趣味で居酒屋もやっている(自称陶芸家の)従兄が魚市場で手に入れた魚を使って腕を振るっての料理も美味しくて大いに盛り上がりました。9日朝、二日酔いを堪えて6時に宇佐出港、途中で大きなしいら(116cm)も釣ったりしながら足摺岬を回って15時に土佐清水到着、突き当りの公共岸壁に横付け。追い風の機帆走で概ね7.5ノット出ましたが、さすがに足摺岬沖では5ノットに落ちました。室戸岬と違って、こちらではかなりの距離逆潮に悩まされます。

 

(3)やっと九州へ

10日、やっと九州は佐伯湾大入島の海の駅に15時半入港。途中で豊後水道の真ん中にぽつんと浮かぶ水の子島を見に行き一周しましたが、大きな灯台がありなかなかの景色でした。大入島海の駅は大きな浮き桟橋があり、すぐ前の食彩館で食事、風呂を済ますことができて便利。11日、佐田岬の前を通過して14時過ぎに姫島到着。港内西に背の高い防風柵がある突堤がありその西側に広くスペースがあったので横付けして近くの漁協に挨拶に行ったところOKとのこと、軽油も購入できました。銭湯が無く、海水浴場のシャワーまでかなりの距離歩きました。12日は、明るいうちに筑前大島に到着すべく、朝6時に姫島出港。関門海峡転流14時半に対し12時半に入口に到着し、文字信号を見たら東流6ノットと出ていたので驚く。低速を落としてゆっくり関門海峡大橋へ進んでいったら、13時に潮流指示が5ノットに落ちたので意を決し、エンジン回転数を3000rpmに上げて大橋の下へ進入。時折強い流れに船首を振られましたが、大き目のエンジンのお陰でGPSによる対地速度4ノット以上で無事通過でき、17時半に筑前大島に入港。港内西にあるフェリー発着場南隣の岸壁に横付けしました。そして「潮騒の湯」へ行って夕食。

  水の子島

 

(4)第一目的地壱岐訪問

13日、いよいよ壱岐の芦辺港に13時に入港。以前の舵誌の記事を参考に、入って間もなく右(北側)に見えるヤンマーの前につけようとして漁協に電話したら「そこは漁船の給油場所なので駄目、もっと奥へ入って右側(北側)のダイエー駐車場前の岸壁にしなさい。」とのこと。行ってみると深さも十分で広いスペースがあり、買い物や風呂も便利で申し分なし。しばらくするとフェリー乗り場の建物から市の職員が係留料(数百円)の徴収にやって来て、ゴミ捨て場所も教えてくれました。会社退職後この島にある実家で悠々自適生活を始めたる知人が午後車で来てくれて島内観光をしてくださり、湯の本温泉へ連れて行ってくれました。歴史も古く、なかなかいい温泉です。ここの港へも係留できそうです。翌日も午前は観光案内していただき、午後は一緒にヨットに乗って少し南の筒城浜海水浴場へ行って海水浴。広々とした白い砂浜の海水浴場に殆ど僕達だけで、ゆったり自然を満喫しました。壱岐は2泊しましたが、山々は全体的に低くてなだらかでゆったりした気分になれる自然が一杯のいいところです。

 芦辺浜泊地

 

(5)憧れの五島列島

157時半に芦辺を出港して15時半に五島列島の一番北に位置する宇久島の宇久フィッシャリーナに到着。新しいポンツーンが数十艇分あり、係留料は水、電気を使っても一泊2100円とリーズナブルでした。スイス人カップルがカタマラン(42ft)で来ていたので夕食に接待、釣れたよこわでズーちゃんが寿司を作ったのを喜んで食べました。翌16日は正午に中通島北側の有川港に入港。入って左の堤防内側が広く空いていたので横付けしましたが、堤防下部が30cmくらい出っ張っていてハルにあたりそうになる。フェンダーを3個束ねたりして何とかクリアーしたが、やはりクルージングには太いフェンダーが複数個必要と実感。午後、タクシーで鯛ノ浦教会など教会を三箇所訪問し、4時ごろ戻って堤防外側の岩場で潜って遊ぶ。17日朝、有川を出て13時に福江港に入港。港の中心部は係留場所を探すのが難しいと聞いていたので左の奥の方へ入っていくと物揚場にスペースが見つかり、近くで工事している人に尋ねたら、ずっと空いているとのことだったので安心して横付け。資料館、堂崎教会、石田城、武家屋敷など半日観光を楽しむ。福江には他にも観光するところが沢山あるのでもう一泊したかったが台風が発生したのであきらめ、翌日、このあたりでは一番安全と考えられるハウステンボスマリーナへ向かいました。佐世保手前でイージス艦3隻に出会ったり、湾内では米軍艦が見えたりで他の港とは違う雰囲気を感じつつ、潮の速い針尾瀬戸に入って無事通過、18時前にハウステンボス到着。

 

(6)ハウステンボスから平戸へ

結局、台風は大陸へそれたが、それがはっきりするまでハウステンボスに3泊。佐世保見物に出かけ、立派な海上自衛隊資料館、一般公開中の護衛艦見学などして過ごしました。途中で友人の乾氏が飛行機でやって来て合流。21日朝、夕立のような雨の中、平戸へ向けて出発、12時に到着。ここはプレジャーボート係留に便宜を図ってくれるところで、入って右側の屋根つき浮き桟橋に2箇所、近くの岸壁にも数箇所付けさせてくれる場所があり、上陸してすぐのところにある市観光案内所で申請すればOKです(無料)。2泊して観光、海水浴を楽しみました。夕方、平戸城や湾の景色を眺めながら、近くの旗松亭の露天風呂に入るのは最高です。居酒屋、スナックも結構あります。乾氏は平戸で下船しましたが、代わりに僕の次男がやって来て乗船、道後温泉まで付き合ってくれました。

 平戸  大三島

 

(7)帰路は瀬戸内海経由で

  23日朝、またまた豪雨の中、平戸を出て帰路に付き、この日は筑前大島泊。24日、徳山グリーンヤマトマリーナ泊。ここは風波に対し安全なロケーションだけどポンツーンは古く、電気は届かず、ごみは持ち帰りください、といわれてがっかり。4000円も払ったのに・・・。25日、景色を楽しみながら上関海峡を通って松山港へ。港内を探したが適当な係留場所が見つからず、結局、松山市北方の和気・島マリンまで行って一泊し道後温泉を楽しむ。島マリンは設備は立派ではないけれど、女性の方が仕切っていて親切。水、燃料の補給ができ、ごみ捨てもOKで満足。26日、大三島西側の宮浦港に寄港して大山祇神社参拝をし、尾道海の駅を目指したが、電話すると、今日は花火大会なので海の駅は閉鎖とのこと。仕方なく堺が浜マリーナで泊まることにする。あてがわれたポンツーンは突起物が沢山出ていて危険でした。でも6500円。タクシーで少しかかるが神勝寺温泉へ行って疲れをとる。27日、牛窓マリーナ泊。新しく大きな立派なマリーナだが価格はリーズナブル(4500)。お寺や古い町並みが保存された牛窓中心部までは数キロあるが、マリーナは自転車を貸してくれて大助かり。28日、小鳴門を通過して徳島ケンチョピア泊。これで4回もお世話になりましたが、ゲスト桟橋は助かります。29日、串本港に泊まり、いつもどおり、ビジネスホテル串本の隣の本州最南端の串本温泉に入り、近くの元漁師さんがやっているという魚料理「くしもと」で夕食。30日、無事に五ヶ所湾志摩ヨットハーバーへ帰着しました。

 

 計画段階では九州一周、対馬も、と考えましたが、昼間だけ走って一ヶ月間では無理と分かり、壱岐、五島に絞ることにして正解。対馬や鹿児島はまたの機会に行きます。瀬戸内海はこれで4回通過しましたが景色がきれいでゆったりした雰囲気があり、また、観光地も豊富、海の駅も各所にあって便利で何度行ってもいいところです。世界のクルージングスポットになってもいいのではと思います。しかし、出会ったスイス人セーラーは、英語で書かれた日本のクルージングガイドブックがないのは大変不便、世界中のクルージングスポットは皆あるのに・・・、と嘆いていました。